2025年1月20日  第8回IERセミナーを開催しました。<鈴木信弘さん、ホッセン・イクバルさん>

日時2025年1月20日(月) 13:30~14:20
場所環境放射能研究所本棟6F大会議室/オンライン(Zoom)
発表者鈴木信弘 (共生システム理工学研究科 環境放射能学専攻 博士後期課程2年)
ホッセン・イクバル (共生システム理工学研究科 環境放射能学専攻 博士後期課程1年)
演題水耕栽培における日本のイタドリ(Fallopia japonica)によるセシウム吸収に対する栄養溶液の組成の影響」(ホッセン・イクバル)
都市の水域における137Cs濃度の時空間変動(鈴木信弘)

環境放射能研究所(IER)では、所属研究者同士の交流、研究活動の推進を目的に、研究成果報告会「IERセミナー」を定期的に行っています。

1月20日(月)に開催した令和6年度の第8回IERセミナーでは、鈴木信弘氏、ホッセン・イクバル氏が発表を行いました。オンライン聴講を含め研究者、大学院生ら11名が参加しました。

ラハマン研究室のホッセン・イクバルさんは、異なる栄養条件下で植物がセシウムを吸収し、隔離する能力を調査しました。イタドリは、その迅速な適応能力、強い繁殖力、さまざまな環境における回復力により、放射性同位体耐性の研究に適した候補として選定されました。イクバルさんは、イタドリが効率的にセシウムを吸収し、主に根の組織に隔離する一方で、特にカリウムイオン濃度が高い場合には地上部への移行を制限することを報告しました。現在進行中の研究は、イタドリにおけるセシウムの取り込みと保持を調節するメカニズムをさらに理解し、環境浄化への応用の可能性を高めることを目的としています。

鈴木信弘さんは、都市域に焦点を当てた研究が少く、都市域の137Cs挙動は不確かであるという理由から、郡山で懸濁態と溶存態137Cs濃度を測定しました。加えて安定同位体δ15N とδ13Cを測定しました。溶存態濃度は0.002-0.03 Bq/Lで、空間分布に偏りは見られませんでした。懸濁態濃度は0.7-6.9 kBq/kgで、下流に行くに従い増加傾向でした。これは懸濁態の流入が137Cs濃度上昇の原因である事、更に137Cs濃度とδ15Nが正の相関を示す事から、人間活動に由来する物質が137Cs濃度上昇の原因となっている事を示唆していることについて発表しました。

各発表後には、IER教授陣と院生から様々な質問やコメントが挙がりました。

ホッセン・イクバル (共生システム理工学研究科 環境放射能学専攻 博士後期課程1年)
鈴木信弘 (共生システム理工学研究科 環境放射能学専攻 博士後期課程2年)
質疑応答の様子