令和6年1月29日 第9回IERセミナーを開催しました。<コノプリョフ特任教授>
日時 | 2024年1月29日(月) 13:30~14:55 |
場所 | 環境放射能研究所本棟6F大会議室/オンライン(Zoom) |
発表者 | アレクセイ・コノプリョフ 特任教授 |
演題 | Experimental field study of basic mechanisms of dissolved 137Cs seasonal variations in ponds of difficult-to-return zone of the FDNPP |
環境放射能研究所(IER)では、所属研究者同士の交流、研究活動の推進を目的に、研究成果報告会「IERセミナー」を定期的に行っています。
1月29日(月)に開催した令和5年度の第9回IERセミナーでは、アレクセイ・コノプリョフ特任教授が発表を行いました。オンライン聴講を含め研究者、大学院生ら24名が参加しました。
コノプリョフ特任教授は、「FDNPP帰還困難区域の池における溶存態137Cs季節変動の基本メカニズムに関する野外実験研究」と題し、以下について発表しました。
水温と競合陽イオンの合計濃度という2つの重要なパラメータを考慮した、水域における溶存態放射性セシウムの季節変動を記述する式について説明しました。福島の河川は、多くが浅く流れが速いため、アンモニウム濃度は通常ごくわずかです。これらの河川における溶存態137Csの季節変動の主な要因は、137Cs溶脱の温度依存性です。一方で、無酸素状態にある池、湖、ダム貯水池の停滞した成層水では、137Csの移動に対するアンモニウムの寄与は水温と同等か、または上回ることさえあります。
発表では、福島第一原子力発電所の帰還困難区域に位置する大熊町の3つの池における溶存態137Csの季節性に関する野外実験研究の結果が報告され、現地と実験室内での濾過結果の比較から、実験室の濾過は水域における溶存態137Csのモニタリングにおいて妥当であることが示されました。提案されたモデルと導かれた方程式は、調査した池における溶存態137Csの季節変動をよく記述しています。
発表後には、IER教授陣から質問やコメントがたくさん挙がり、水域における溶存態137Csの物理化学的メカニズムについて白熱した議論が続きました。