令和5年5月26日 IER特別セミナー (オンライン)を開催しました。<星名誉教授>
日時 | 2023年5月26日(金)13:00 – 14:30 |
場所 | 環境放射能研究所A602 (Zoom使用) |
外部講師 | 星 正治 広島大学名誉教授 |
講義タイトル | 放射線の人体への影響とリスク評価の意義 |
環境放射能学専攻博士前期課程の一部授業では、著名な研究者を講師として招き、その授業を「特別セミナー」として学内の教員にも公開しています。
5月26日に開催された星正治広島大学名誉教授による「原子力災害学」のオンライン講義には、環境放射能学専攻の博士前期・後期課程の学生とIER教職員など計26名が参加しました。この講義では、星教授が行ってきた広島・長崎における原爆線量評価システム(DS02)の開発、カザフスタンのセミパラチンスクにおける線量評価と疫学調査の結果についてご説明いただきました。これらの調査結果を踏まえた上で、放射能を帯びた微粒子に関する研究結果についての解説がありました。セミパラチンスク核実験や広島における原爆といった原子力災害の被災者の中には、被ばく線量のみでは説明できない強い疲労感などの後遺症があらわれることが報告されていましたが、これらの原因として、原子爆弾によって照射された中性子が地質物質等を放射化し、放射能を帯びた微粒子が生成されたことが考えられるとのことでした。特にMn-56が主な原因核種として考えられており、その影響を評価するための多岐にわたる共同研究とその成果について説明されました。
質疑応答では、とくに放射能を帯びた微粒子に関する質問がなされ、福島における高濃度放射性セシウム含有微粒子(CsMP)や、チョルノービリのホットパーティクルとの対比について議論がなされました。