令和4年5月17日 IER特別セミナー (オンライン)を開催しました。<ホーレマンス博士>

日時

2022年5月17日(火)午後17:00-18:30

場所

オンライン (Zoom)

外部講師

ネロ・ホーレマンス博士、ベルギー原子力研究センター

タイトル

Do epigenetic changes regulate the response of plants chronically exposed to ionizing radiation? Evidence from field and lab experiments

環境放射能学専攻博士前期課程の一部授業では、著名な研究者を講師として招き、その授業を「特別セミナー」として学内の教員等にも公開しています。

5月17日に開催されたネロ・ホーレマンス教授による「放射線影響学」のオンライン講義には、環境放射能学専攻の修士学生5名とIERのメンバー4名が参加しました。 講義の中でホレマンス教授は、生物が遺伝子の転写を制御し、発生段階に特異的な特徴を形成する際に、エピジェネティック*なメカニズムがどのような役割を果たすのかについて、最新の見解を説明しました。特に、慢性的な放射線にさらされた植物のDNAメチル化とマイクロRNAの発現レベルの変化の解明を目的とした野外・室内実験の結果に焦点を当て、講義は進行しました。

質疑応答では、放射線がメチル化レベルやマイクロRNA活性を変化させるメカニズム、親の放射線被ばくが未被ばくの子供のメチル化レベルを変化させること、エピジェネティック変化と非標的効果(バイスタンダー効果など)との関連性、個々の胚細胞におけるメチル化レベルの制御による分化、チョルノービリ立入禁止区域の植物の被ばくにおける90Srや他の放射性核種の寄与などについて、講師と参加者との間で議論が交わされました。

*エピジェネティクス
エピジェネティクスとは、DNA塩基配列の変化を伴わない遺伝子機能の遺伝的変化を研究する学問領域です。このような変化は、生物のさまざまな発生段階において、また環境やストレスなどの外的要因に適応する際に生じるものです。