令和2年11月27日(金)楢葉中学校で第15回研究活動懇談会を開催しました。

日時

令和2年11月27日(金)13:25~15:15

場所

福島県双葉郡楢葉町立楢葉中学校

発表者

塚田 祥文 教授

演題

2011年の事故後の環境放射能

11月27日に今年度2回目となる研究活動懇談会を行いました。
農作物への放射性物質の影響について研究する塚田教授が楢葉中学校を訪問し、1年生から3年生の全校生徒約40名と先生方へ放射線教育の一環として講演を行いました。当日は塚田研究室修士2年の菊池美保子さんも参加しました。

福島県双葉郡楢葉町は、面積の多くが福島第一原子力発電所から20km圏内にあり、事故後、大部分が避難指示の対象地域となりました。2015年9月に全域で避難指示解除となり、楢葉中学校は2017年度より町内での教育活動を再開しています。

生徒代表による発表の様子

講演に先駆けて、有志で町内の放射線量を計測した生徒さんが、計測の結果や放射線に関して調べたことについて感想を述べました。その中でも代表の3年生2名は、スライド資料を使いながらの大人顔負けの発表でした。「町内でも線量が高いところと低いところがあるが、普段生活しているところは十分に線量が低く安心した」「除染のおかげで再び楢葉で生活できていることがわかった」といった感想があがり、自分たちで実際に線量を測る活動によって、改めて放射線に対する不安を払拭できたようでした。

講演を行う塚田教授
真剣な表情で聞き入る生徒の皆さん

塚田教授の講演では放射線の歴史など基礎知識から始まり、土壌中の放射性物質が農作物に移動するメカニズム等について図やグラフを示しながらお話しされました。中学生の皆さんには、やや難しい内容も含まれていたと思いますが、真剣な表情で聞き入っている姿が印象的でした。後日、担当の先生に伺ったところ、ほとんどの生徒さんが「講演を聞いて放射線について前よりも詳しくなれた」と話していたそうです。休憩時間や講演後には、目には見えない放射線のイメージを掴んでいただければと、用意した霧箱で放射線が飛ぶ様子を観察していただきました。興味津々といった様子で霧箱を眺める生徒さんからは、自分でも霧箱を作ってみたいという声も聞こえました。

楢葉中学校の全校生徒数は、震災前は約300名だったところ、現在は39名とのことです。それでも、地域振興の活動等も積極的に行われているということで、真新しい校舎には生徒の皆さんの活気を感じました。

「日本一放射能に詳しい中学生になるんだよ」と言って授業をしているという理科の先生の言葉がありましたが、今回の懇談会が生徒の皆さんが放射能に対する正しい知識を深めるための一助になれば幸いです。

霧箱を囲んで放射線を観察
懇談会の最後に感想を述べる生徒さん
生徒の皆さんと記念撮影
(写真撮影のときのみ、マスクを外しました)