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福島大学共生システム理工学研究科環境放射能学専攻に入学した理由を教えてください。
私は社会人特別入試制度を利用し、福島大学共生システム理工学研究科環境放射能学専攻へ入学しました。普段は工場排水や飲料水、土壌等の検査を行う企業に勤めております。震災後は放射性物質の検査も行うことになり、Ge(ゲルマニウム)半導体検出器が導入され、放射能測定といった業務も担当しています。仕事内容と環境放射能学専攻で学ぶことの出来る内容がリンクしているため、放射能・放射線に関して基礎からしっかりと学ぶ機会を得ることが出来ると考えたことが進学のきっかけです。
福島県は原発事故により放射能の影響を大きく受けました。県内に住む私に取っても、大きなインパクトがありました。環境放射能の分野で最先端の研究設備のある福島大学大学院で学ぶことで、福島県の状況や事故の影響などの情報を知ることができますし、また自分自身で研究を行いたいと思ったので、大学院への入学を決めました。
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研究内容と、その研究の面白さについて教えてください。
主に60Co(コバルト)という放射性核種が、東京電力福島第一原子力発電所の事故により環境中にどれくらい含まれているのかを研究しています。今回の事故では多くの放射性物質が飛散しましたが、その中で134Cs(セシウム)、137Cs、131I(ヨウ素)といった核燃料由来の核種の測定や研究が多く行われています。実際には建造物由来の60Co(コバルト)もごく微量ながら検出されていますが、研究はあまり行われていないのが現状です。そのため、60Coの飛散の状況を検証し放出量の推察、分布を明らかにする研究を行っています。
60Coそれ自体、放出量が少ないと予測されるため検出が難しい核種なことと、検出事例がわずかであるため難しい研究ですが、この研究を軸に、その他の核種への応用ができないか、その後の広がりも期待しています。
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大学院生としてどのような毎日を過ごしていますか。
講義の時間割を木、金曜に集中していただいています。月~水は会社で仕事をしており、木、金は講義や研究室のゼミに出席し、講義の空き時間、仕事の後や土曜日には研究や課題に取り組んでおります。このように時間割を柔軟に調整できるので、なんとか仕事と両立することができていると思います。とはいえ、やはり忙しいです。仕事と研究と休息のメリハリをつけることを、いつも心がけています。
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大学院での経験を将来どのように活かしたいと思いますか。
震災から8年が経過し避難指示が解除された区域が広がりつつありますが、まだ解除されていない区域が残り、不安を抱えている人は多くいます。そういった方々への情報発信は重要だと考えていて、現在の仕事でも、市民の方々への放射能についての説明会を行う機会が多々あります。卒業後はこれまで以上の専門性を持って、産学官民を繋ぎ、大学院で学んだ知識や経験、技術を福島県の復興に役立ていきたいです。
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最後に、受験を考えている方に、環境放射能学専攻の魅力を伝えてください。
環境放射能学専攻は、最先端の技術や知識を学ぶことができ、先生側も多様な専門分野で研究・実績を積み重ねてきていらっしゃいます。また学生は、学部からの持ち上がりの方や私のような社会人や社会人経験者、外国籍の方など、色々なバックボーンを持った色々な年代の人が集まっております。そのため、異なった視点や考え方に触れ、知識を深めることができます。講義には環境放射能専攻の先生以外に、他の専攻の先生や学外の先生の講義もあり、多くのことが学べ、分からないことや疑問があれば気軽に先生方に質問することができ、非常に距離が近いと思います。
社会人であれば、講義を特定の曜日や時間に集中して行うなどの配慮をいただけますし、長期履修制度を活用することで、仕事との両立も可能だと思います。
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インタビュー:2019年10月