令和3年12月27日 第8回IERセミナーを開催しました。<和田准教授・ヨシェンコ教授>

日時

2021年12月27日(月)14:00~15:00

発表者

和田 敏裕 准教授
ヴァシル ヨシェンコ 教授
(発表順)

演題

Large variation of 137Cs radioactivity and water-to-body concentration ratios of fish in Maeda River and an adjacent pond near the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant(和田)
The long-term trends in Radiocesium Dynamics in Fukushima Forests.(ヨシェンコ)

環境放射能研究所(IER)では、所属研究者同士の交流、研究内容の研鑽を目的に、研究成果報告会「IERセミナー」を定期的に行っています。

12月27日に開催した令和3年度第8回IERセミナーでは、和田准教授、ヨシェンコ教授が発表を行い、オンライン聴講を含め、教職員、大学院生ら計19名が参加しました。

和田准教授は、福島第一原子力発電所近傍に位置する前田川(上流から下流の5地点)および付近の池で採取した魚類についての分析結果を発表しました。ウグイと河川水の放射性セシウム濃度を測定した結果、環境水に対するウグイの濃度比に地点間で大きな変動がありました。一方、ため池の魚類ではこれら濃度比に河川ほど大きな違いは認められませんでした。チェルノブイリ事故と福島第一原発事故の影響を比較すると、湖や池に生息する魚で観察されるセシウム137の蓄積メカニズムは類似しているが、河川に生息する魚では、福島特有のセシウム137の蓄積メカニズムが存在する可能性を指摘しました。

ヨシェンコ教授は、福島の森林における放射性セシウム動態の長期的推移について、調査を開始した2014年以降の研究結果を発表しました。放射性セシウムは、森林内土壌のリター層では大幅に減少しましたが、その80%が依然として表層5cmに局在しています。時間経過と共に下方移動が緩やかになりましたが、根の密度が高い土壌層では植物の根から吸収される化学的性質を有している動態に注目する必要があります。また木材区画の動態は、樹種間(スギとヒノキでは放射性セシウムを心材に蓄積)や生育場所によって異なるため、動態の違いを決定するメカニズムや生育場所特有のパラメータを明確にする必要があることを説明しました。

各発表後は発表者への様々な質問や意見などがあがり、活発な議論が交わされました。

和田准教授が発表している様子
質疑応答
ヨシェンコ教授の発表時の様子
質疑応答