令和4年6月7日 IER特別セミナー (オンライン)を開催しました。<ゲラスキン博士>
日時
2022年6月7日(火)午後5:00 – 6:30
場所
オンライン (Zoom)
外部講師
スタニスラフ・ゲラスキン 博士、ロシア農業放射線生態学研究所
タイトル
Effects of long-term chronic exposure to radionuclides in plant populations
環境放射能学専攻博士前期課程の一部授業では、著名な研究者を講師として招き、その授業を「特別セミナー」として学内の教員にも公開しています。
6月7日に開催されたスタニスラフ・ゲラスキン教授による「放射線影響学」のオンライン講義には、環境放射能学専攻大学院生5名のほか、IERや学内のメンバー2名が参加しました。ゲラスキン教授は、チョルノービリ(チェルノブイリ)の立入禁止区域やセミパラチンスク核実験場、福島の避難指示区域など、重度な放射能汚染が認められた地域における慢性的放射線被ばくの植物への影響について話をされました。基本的な研究方針は、分子レベルから生態系まで様々な階層で見られる植物への放射線影響を多様な手法で一つ一つ明らかにする、ということです。ゲラスキン教授は、細胞遺伝学的変化、突然変異、植物個体群の遺伝的多様性、エピジェネティックな変化、遺伝子発現の違い、ホルモンバランスや酵素活性・形態学的指標の変化などに関する包括的データを紹介しました。質疑応答では、被ばくした植物におけるゲノムメチル化レベルやトランスポゾンの活性の変化の背景にある物理的なメカニズムについて、参加者の間で議論が交わされました。
* トランスポーザブル・エレメント(TEs、モバイル・エレメント、トランスポゾン、「ジャンピング遺伝子」などと呼ばれる)は、ゲノム内で位置を変える(「ジャンプ」する)ことができるDNA配列である。長い間、TEsは「ジャンク」DNAと考えられてきたが、その後、TEsが突然変異を引き起こし、ゲノムの機能を変化させることが明らかになった。