令和4年6月28日 IER特別セミナー (オンライン)を開催しました。<渡辺博士>
日時
2022年6月28日(火)午前10:20 – 11:50
場所
オンライン(Zoom)
外部講師
渡辺 嘉人 博士、量子科学技術研究開発機構 放射線医学研究所
タイトル
Effects of Fukushima accident on plants and animals
6月28日に開催された渡辺嘉人氏による「放射線影響学」のオンライン講義には、環境放射能学専攻5名と、IERのメンバー数名が参加しました。冒頭、渡辺博士は、標準動物および植物(RAPs)や誘導考慮参考レベル(DCRL)といった環境放射線防護のための基本的な概念を紹介し、ERICAアセスメントツール*におけるその実用性について説明しました。そして、福島原発事故後の大熊町の陸上と海洋生態系のRAPsの線量率を推定して、DCRLと比較することで放射線のリスク評価を行いました。さらに話題は、福島原発事故後に観察された野生動植物の放射線影響を明らかにした論文の総説、チョルノービリ原発事故による野生生物への影響、野外と実験室での放射線影響の違いを解釈する際の問題点、日本のモミの形態変化に関する研究の進展、そして渡辺博士が開発したモミの新しい線量測定モデルまで、幅広く多岐にわたりました。参加者は、照射時期によるモミの形態異常発生の違いや、新しい線量評価モデルとERICAアセスメントツール*の線量評価アプローチとの主な違いについて議論しました。
* ERICAアセスメントツール: EUの研究プロジェクトERICA(2004-2007年)で開発された、放射能濃度を入力すると線量率を計算し、リスク判定を行うコンピュータソフト。 <6月21日のセミナーの記事はこちら>